『玉ねぎフライパン作戦』
目黒次は『玉ねぎフライパン作戦』。これは夕刊フジに連載して2007年11月に角川書店から刊行され、2011年7月に角川文庫と。
椎名これはお前に言われたんだよ。このころは週刊文春で赤マントを書いていたから話がだぶらないように、夕刊フジのほうはテーマを絞ったほうがいいって。
目黒そうか。「自著を語る」で椎名が書いているな。
「夕刊フジ」で週一回の小さなコラム連載をやっていた。たくさんの連載を書いているので、この連載を引き受ける前に目黒考二に相談したのだが、テーマを無限大に広げた中で書くよりは、極端に絞ってしまってそのテーマにがんじがらめになるようなかっこうで書いていくのがよい、と断言された。そこでサラリーマンを主要講読層とするタブロイド新聞であるから、酒とその肴というところにテーマを絞った。これはまあ自分の毎日の日々を書いて行ってもそれに合致してしまうわけだから話は簡単で、たくさん連載がありながらもほとんど苦労もなく書いていたような記憶がある。その連載では二つの単行本が出来たが、この本のタイトルはぼくとしてはかなり気にいっている。
知らない話が多かったのでこれは面白かった。いちばん驚いたのは、酒に酔って帰宅してから腹が空いていると食べる。とこれには驚いたなあ。
椎名どうして驚くんだよ。腹が空いていたら食べるだろ?
目黒いや、椎名は食べないのかなと思ってた。
椎名食べるよ。
目黒だって飲むときに食べてないじゃん。椎名が食べるとこ、見たことないもの。あのね、おれは太っているけど、椎名は太ってないし、腹筋なんて割れてるじゃん。そうか、やっぱり夜食べないからなんだと思ってたんだよ。おれは夜にしっかり食っちゃうからなあって。でも食べてるかよって。しかも自分で作って食べるんだぜ。気合、入っているよね。
椎名腹減ってたら作るよ。
目黒しかも「夕刊フジ」にこのエッセイを書いていた2008年〜2010年ごろは夜更けにカレーうどんを食べる! いまも食べてるの?
椎名カレーうどんは食べなくなったなあ。このころは凝ってたんだ。それで原稿を書いていたんじゃないかなあ。
目黒え、仕事もしてたの?
椎名食べてすぐに寝ちゃったらまずいしさ。
目黒やっぱりそういうことを考えてたんだ。ふーん。あとは毒キノコの話が興味深いというか怖かった。特にオオシビレタケ。これを食べると高いところに昇りたくなるって、本当かよって思っちゃう(笑)。
椎名本当なんだ。
目黒でも理屈がわからないよね。シビレルとか痛いとかならわかるけど、どうして高いところに昇るのよ。
椎名しかも本人はどうやってそこまで昇ったのかがわからない。はっと気がつくと高いところにいるんだって。
目黒わからないなあ。ま、いいか。あとは銀座二丁目の居酒屋に一人でいくっていうんだけど、椎名が一人でいくのって珍しいよね。カウンターの一人客は誰も話しかけてこないからすごくいいと。どうもしばらくこの店に通いそうであるっていうんだけど。
椎名それはホネフィルムがあったころの話だな。ホネフィルムは銀座にあったから。
目黒でもいくらでも知り合いがいるんだから誘えばいいのに、一人で飲むのは珍しいよね。
椎名いや、それはたぶん時間調整だよ。ホネフィルムにいったあと、次の約束まで時間が余ったと。そういうことじゃないかなあ。
目黒なるほど。あとは新大阪の駅弁でうまいものに出会ったことがないって書いているんだけど。
椎名その後みつけた。新大阪駅の地下1階に弁当屋がいくつかあるんだけど、そこの弁当はおいしかった。それまで地下1階まで降りたことがなかったんだ。
目黒東京駅の大丸地下の銀ダラ西京漬け混ぜご飯弁当はおいしいって書いているけど、こういうのをもっと教えてほしいよね。その新大阪駅の地下1階に弁当屋の何という弁当がおいしかったの?
椎名忘れた(笑)。
目黒東京駅に直結している大丸地下の弁当売り場は、あまりに弁当が多すぎて、何を買ったらいいものか目眩がしてくるよ。おれはそばまでいって、いつも諦めるよ(笑)。あの膨大な弁当の山から一つを選ぶなんてとても出来ない。
椎名銀ダラ西京漬け混ぜご飯弁当をすすめます(笑)。
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