『新 これもおとこのじんせいだ!』
目黒次は『新 これもおとこのじんせいだ!』です。2003年1月に本の雑誌社から本になったもので、まだ文庫にはなっていません。これは以前、本の雑誌から出した『これもおとこのじんせいだ!』の続編。続編といっても、中身がつながっているわけではなく、形態が同じという意味ですね。6つのテーマをつくって、そのテーマについて7人がエッセイを書き下ろして、それで1冊にするという形態ですね。1人でまるまる1冊書き下ろすのは大変だけど、7人で分担すればわりに簡単に出来るというわけで、前作でも成功したので、それを踏襲したわけ。
椎名テーマって?
目黒ここでは、
「好きな場所」について
「恐怖」または「恐怖症」について
「得意な料理」について
「学校時代の思い出」について
「ジンクス」「縁起かつぎ」について
「叶わなかった夢」について
という六つのテーマについて、それぞれが短いエッセイを書く。
椎名そのテーマはどうやって決めたんだ?
目黒あなたが決めたんだよ。前作もそうだけど。
椎名安易だなあ。
目黒それは言っちゃいけない(笑)。
目黒前作は負担が少ないぶん、全編書き下ろしにしてはわりに早く本になったので、ここもそういう計算をしていたら、2年くらいかかってしまった。おれは締め切りを守って早く書いて編集部に渡していたからよく覚えている。まだ本にならないのかって思ってた。たぶん誰かの原稿が遅れたんだろうね。
椎名やだなあ、聞くの。
目黒いや、おれも覚えてないんだ。まあ、あんたか沢野だよね、それは(笑)。本としては共著なんで、評価は避けて、椎名の書いた部分へのコメントだけにします。あのね、こういう文章がある。
「ぼくが子供のころは、結構みんな屋根の上が好きで、だいたいどいつも自分の家の屋根にするすると上がれるルートを知っていた」
っていうんだけど、「だいたいどいつも」って、おれのまわりにそんなやつはいなかったよ(笑)。
椎名みんな、あのころは昇ってたよ。
目黒あのね、あなたとおれは2歳しか違わないんだから、ほぼ同世代だぜ。椎名は千葉にいたでしょ、おれは東京だから、そういう地域差かなあ。
椎名千葉の少年は昇ってたよ。
目黒あるいは地域差ではなく、個人差かも。
椎名どういうこと?
目黒椎名はもともと高いところに昇るのが好きだろう。大人になっても鉄塔に昇るくらいだから。そういうやつの友達には、同じように屋根に昇るのが好きなやつが集まるとかさ。で、昇って何をするのさ?
椎名屋根のてっぺんに、あれは何というのかね、瓦を抑えている部分があるだろ。あれを取ると中に雀がいるんだ。その雀の首を捕まえたりする。
目黒ろくなことしねえな(笑)。
椎名あとは友達が「しいなくーん」って来るだろ。屋根の上にいるおれが見えないから、あれ、どこにいるんだろって思うんだ。それを見ながら、おれは一人で「うふふふ」って。
目黒くだらないねえ(笑)。
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