『にっぽん・海風魚旅 怪し火さすらい編』
目黒それでは、『にっぽん・海風魚旅 怪し火さすらい編』です。2000年6月に講談社から刊行されて、2003年7月に講談社文庫と。
椎名週刊現代のグラビアに連載していたやつだな。
目黒エッセイと写真で見開き2ページの連載だね。「行きあたりばったりに出会った人々やできごとを写真や文章でまとめていく、という最も初歩的な旅話ですが、こうして日本のあちこちを回ってみると、予期していなかったような日本のいいところいやなところなどが見えてきて個人的には大きな収穫になりました」とあとがきに書いているね。
椎名6年もやったからなあ。
目黒この連載は全部で5冊本になっていて、これはその第1冊目と。
椎名4人で海べりをまわっていたんだよ。
目黒それ、前に聞いたことがあるなあ。絶対に4人もいらないよねって言った記憶がある。あれ、何だったんだろう?
椎名おれもそう思ったけど(笑)、でも多いと楽しいよな。それに4人いないと麻雀ができない(笑)。
目黒この連載、最初から4人だったの?
椎名そうだよ。
目黒でもこの本の中にはキャラクターとして登場しないぜ。だから最初のころは椎名が一人で旅してたんだと思ってた。面白かったのは、椎名漁港に椎名神社。あるんだねそんなところが。
椎名その町はいたるところに、椎名商店とかさ、そういう看板におれの名前が出ているんで驚いたよ。
目黒土地の名前が椎名なんだ。室戸岬の近く。知ってたの、そういうところがあるって。
椎名現地に行ってから知った。この旅は、出発前に何も調べずに行ったんだよ。どこへ行く、という目的地だけは決めていくけど、あとは行き当たりばったり。だから、現地につくまで知らなかった。昔は椎名城もあったらしい。それが滅ぼされて椎名神社になっている。
目黒椎名漁港の子供が描いたサカナ図鑑が写真として載っているけど、うまいよねえ。ただね、丸亀でうどんを食べるくだりで、「つめたいの二タマ、あつあつ汁、おろしショーガ、ネギ、なすの天ぷら1、すりゴマたっぷり、七味トウガラシ付」を椎名が食べるんだけど、この値段が書いていない(笑)。これ、知りたいよね、幾らだったのか。
椎名全員分をまとめて支払うから覚えていないんだよ。
目黒日本の三大うどんは、四国のさぬきうどん、秋田の稲庭うどん、五島列島の椿あぶらをつかったうどん、って椎名は書いているんだけど、これは椎名の選んだベスト3でしょ? 一般的な三大うどんは別でしょ?
椎名あのさ、だいたい「三大なんとか」というときはさ、自分の郷里のものとか個人的に好きなものをまぜるのさ(笑)。
目黒一般的には何なの?
椎名なにかなあ。
目黒五島列島の椿あぶらをつかったうどん、って東京で食べられるの?
椎名どうかなあ。おれは取り寄せてるけどな。
目黒塩飽諸島の民宿に泊まったときにごはんがまずかったと書いているんだけど、これ、クレーム来なかった。
椎名来ないよ。だって本当なんだから(笑)。
目黒えっと思ったのは、西表島の人口が、1980年に1553人だったのに、1998年に1905人になっていると。つまり18年後のほうが増えている! 普通、地方というか離島の人口は減るよね。
椎名石垣島の人口も増えているよ。
目黒「人口増は本土からやってきた観光業などの仕事につく新西表人によるところが大きいらしい」と書いているね。
椎名あのさ、これくらいしか話がないのかね?
目黒ないよ。
椎名本当か。
目黒じゃあ他になにがあるのか言ってごらん(笑)。
椎名そう言われると。
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