『いろはかるたの真実』

目黒それでは、『いろはかるたの真実』です。1996年4月に本の雑誌社から刊行され、2000年8月に角川文庫に入った本ですね。発作的座談会の第2弾。第1弾の『発作的座談会』を20年ぶりに再読したら、想像以上に退屈でショックだったけど、これは面白かった。

椎名へーっ。

目黒第1弾がつまらないのならこれもつまらないかなと思っていたんだ。しょせん、作った話は20年ももたないって。ところが、これはいちばん最初の「ごはんと麺類はどちらがエライか」と、いちばん最後の「いちばん強いものは何か?」が吹き出しちゃうほど面白い。いまでも、くっと吹き出しちゃうんだ。

椎名(笑)。

目黒じゃあ、どうして第1弾と違うのか。それを考えてみた。この「ごはんと麺類はどちらがエライか」と「いちばん強いものは何か?」に共通するものは何かを考えてみたんだ。そうすると、沢野のキャラクターが全開なんだね。あいつがいきいきと語っていて、それを他の三人が盛り上げている。もう最高だよ。沢野の発言に何度も吹き出しちゃう。

椎名ほお。

目黒この発作的座談会は、沢野でもっているというのが今回の結論。つまらない回は沢野の発言がつまらないんだ。そういうときって沢野が乗ってないんだ。もう簡単な真理だよ。箱根の温泉宿で何度も収録したけど、いつも途中で沢野が寝ちゃっただろ。そうすると沢野不在だから、こういう回はいま読むとつまらない。あるいは沢野が起きていても、あいつが乗ってないとつまらない。あいつ、常人離れしているからさ、とんでもない発想を持ち出すことがあるだろ。作るんじゃなくて、本当に沢野がそう思っていることがそれだけでおかしいってときがある。その発言をみんながうまく引き出した回は成功するんだ。

椎名本当かよ。

目黒他の回を全部検証しないと本当の結論は出ないけど、この「ごはんと麺類はどちらがエライか」と「いちばん強いものは何か?」を読むかぎりでは、そうだね。あと、この『いろはかるたの真実』がいま読んでも面白いのは、情報としての面白さがあるよ。

椎名どういうこと?

目黒たとえば「間違いやすい言葉」というテーマで2回やってるんだけど、「うたたねと仮眠はどう違うのか」とか。こういうのって、情報として面白いだろ。

椎名なるほどな。

目黒「いい記念日、悪い記念日」という回で、記念日には季節感が欲しいと言いだした沢野が「東北ではもう手袋の人が増えていますが、沖縄ではまだです」(笑)とキャスター風に言うと、木村さんがすかさず「手袋前線」と答えている。こういう掛け合いも絶好調だよ。

椎名いいなあ、読みたいなあ。

目黒第1弾のときに批判しすぎたと、だから反省している。たまたまあれはつまらなかったけど、全部がけっしてつまらないわけではないと訂正しておきます。これから第3弾、第4弾でここに登場してくると思うので、結論はそれまで待ちますが。それとね。関係ない話をしていい?

椎名いいよ(笑)。

目黒この本の中で、おおみそかのば〜んに、は〜やく寝るやつ、ば〜かだって歌をうたったという椎名の発言に、「千葉では少年たちがそうやって意味なく大晦日の夜に歩いていた」と沢野が証言しているんだけど、これ本当? 椎名と沢野は千葉で育っているから、つまり地元の人の証言では仕方がないとこのときは何も反論できなかったけど、千葉の少年たちが全員その歌を歌っていたんじゃなくて、椎名と沢野のまわりにいた少年たちだけが歌っていたという可能性はない?

椎名そうかもしれない(笑)。

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