「うみ・そら・さんごのいいつたえ」
原案=『白保 うみ・そら・さんごのいいつたえ』(中村征夫、情報センター出版局)
ⓒ1991年、ホネ・フィルム
カラー35ミリ、ヴィスタヴィジョン、1時間45分
製作=岩切靖治
プロデューサー=沢田康彦
脚本=椎名誠、沢田康彦、白木芳弘
撮影=中村征夫
音楽=高橋幸宏
出演=余貴美子、本名陽子、仲本昌司、平良進、平良とみ、池田義本、山下和秀、生田ひろみ、紺野美沙子、他
ロケ地=沖縄県・石垣島
椎名誠 自作を語る
『ガクの冒険』の思わぬ成功によって生じた利益で映画製作会社ホネ・フィルムが誕生しました。そこから発信する映画として製作したのが、この映画です。 この映画でぼくは初めてシナリオを担当。四カ月くらいかけて書きました。その長さからいって二時間近い本格的映画になりそうだったので、スタッフはきちんとしたプロにお願いすることになりました。 石垣島での撮影は約一カ月半におよびましたが、『ガクの冒険』のときに培った共同合宿方式が生かされ、経費も節約できました。 上映もさらに本格的になって北海道から沖縄まで全国的に巡回上映。宣伝にはほとんどお金を使わなかったけれど、口コミで評判が伝わり十五万人以上の観客を動員することになって、最後の方ではその話題を聞きつけたマスコミがこちらがお願いしなくても取材に来てくれるようになりました。その結果、東京でのロードショー公開が決定。通常とは逆の形で公開規模が拡大していきました。現在、ぼくの映画を支えてくれる人たちとのネットワークができあがったのもこの映画のおかげです。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)