『おれたちを笑え!わしらは怪しい雑魚釣り隊』

目黒『おれたちを笑え!わしらは怪しい雑魚釣り隊』は、週刊ポスト2013年5月17日号から2015年2月6日号まで連載(月に一度の連載)したもので、「わしらは怪しい雑魚釣り隊」の第5弾です。このシリーズは版元がばらばらなので、そういうこともたぶん影響しているんでしょうが、この本のどこにも過去の本についての記載はないので、読者の便を考えて、これまでの雑魚釣り隊行状記の書名をここにまとめておきます。

①『わしらは怪しい雑魚釣り隊』2008年2月 マガジン・マガジン/2009年5月に新潮文庫
②『続怪しい雑魚釣り隊 サバダバサバダバ篇』2009年6月 マガジン・マガジン/2010年5月刊の新潮文庫版は『わしらは怪しい雑魚釣り隊 サバダバサバダバ篇』と改題
③『わしらは怪しい雑魚釣り隊エピソードⅢ マグロなんかが釣れちゃった篇』2011年10月 マガジン・マガジン/2012年12月刊の新潮文庫版は『わしらは怪しい雑魚釣り隊 マグロなんかが釣れちゃった篇』と改題
④『おれたちを笑うな! わしらは怪しい雑魚釣り隊』2013年7月 小学館/2015年8月に小学館文庫
⑤『おれたちを笑え! わしらは怪しい雑魚釣り隊』2015年10月 小学館

こうなりますね。元版の出版社も異なって、文庫の版元も異なるから、読者としては不便なんですが、いまさらそんなことを言っても仕方がないんで、せめてこういう一覧を掲げておきましょう。文庫版の巻末には載っているのかなあ。こういう一覧。

椎名どうかなあ。

目黒一覧があると読者には便利だよね。ええと、冒頭近くにね、小田原の早川漁港にいく話が出てくるんだけど、この回は参加者が少なかったと椎名が書いていて、来れない隊員の理由が、竹田君とか西澤君のケースが紹介されている。わざわざそんなところから始まる回も珍しいから、ではこの回に参加した隊員は誰なんだろうと気になるわけ。ところが参加者8人というわりに、そのメンバーの全容がなかなかわからない。8人はいないだろと思ったら、写真にしか登場しないメンバーがいる。名前くらい書いてあげなさいね、せっかく参加したんだから(笑)。

椎名はい(笑)。

目黒あとは、あのタクワン浜のくだり。地元の人の証言で、やっぱりこの浜にはタクワンが流れ着くと。椎名たちが行ったときだけじゃないことが判明する。不思議だよねえ。その理由はまだわからないの?

椎名わからない。三浦半島は大根の産地として有名だろ。その地の人たちが大根を漬けて、それが海に流れて、タクワン浜まで流れついたと。あとはタクワン船が沖合で沈没したとか。

目黒あとは細かいことばかりなんですが、こういうくだりがある。

「カワハギはあのひょっとこ風のおちょぼ口でけっこうちょんちょんとエサの周辺だけを食い荒らし、なかなか針掛かりしないという賢いコノヤロ魚だ」

こういう釣りのディテールって、このシリーズではほとんど描いてこなかったよね。隊員の行状記が中心だから。でも面白いよね、こういうディテールは。

椎名この雑魚釣り隊は、もともとは釣り雑誌に連載していただろ。そうするとその雑誌の読者には当たり前のことだから、こういうディテールは。だから書かなかったんじゃないかなあ。

目黒なるほどね。でもいまは、週刊ポストに連載なんだから、今後はこういうディテールをもっと書いてもいいんじゃないか。釣りに興味のないオレのようなやつでも、こういうのは面白いと思うもの。

椎名そうか。

目黒あとは、京セラ(新隊員のあだ名)が初参加のとき、「みなさんはいつ釣りにいくんですか」って質問するところが愉快だった。そのときは、先に行った隊員がかなり釣ったんで、それだけあるならもういいやって釣りにいかずにすぐに宴会を始めちゃったから、京セラは驚いたんだね。「だってみなさん、雑魚釣り隊でしょ」と言うところがケッサク。

椎名ヤツはまだ甘かったな(笑)。

目黒Pタカが出てこなくなってからこのシリーズはつまらないと、一時期は批判的でしたが、最近は何もなくていいやと思っている。無理にドラマをつくらない、駄洒落は書かない、という二点も守れば、これはこれで成立するんだという気がします。

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