『ソーメンと世界遺産 ナマコのからえばり8』
目黒ええと、『ソーメンと世界遺産』は、サンデー毎日に連載している「ナマコのからえばり」の第8弾。2012年12月30日号〜2013年8月11日号に連載し、2013年9月に毎日新聞社から本になっています。カナダのバフィン島の話からいこうか。
椎名北極圏にある島な。
目黒51万平方キロメートルで世界で五番目に大きな島だというんですが、他にどんな島があるの?
椎名ニュージーランドがあるだろ。グリーンランドもある。
目黒アイスランドは?
椎名島だよランドだもの。大きさはグリーンランドのほうが10倍くらい大きいけどな。
目黒すごいのは、そんなに大きい島なのに、人口がたったの9640人。ちなみに日本は38万平方キロで1億2000万人。日本よりも10万平方キロ以上大きいのに、たったの1万人足らず。
椎名隣の村まで500キロは離れているからな。
目黒ええと、この本には隣の村まで100〜300キロとあります。だから村の交流がむずかしい。犬ぞりだと10日くらいかかるし、途中にガソリンスタンドがないからスノーモービルも使えない。
椎名移動するには飛行機しかないけど、飛行場がないからそれもだめ。
目黒一生同じ村にいる人が多いと。問題は衛星放送のテレビを見ることが出来ること。つまり世界を知っちゃう。だから自分が隔離されていることを知って閉塞感を覚え、その結果、若者たちの自殺が急増していると。
椎名政府は銃を取り上げ、酒も禁止したりしてるけど。
目黒なんで?
椎名酒を呑んで銃を乱射したりするから。
目黒ええと、話を変えましょう。登山家は、シェラフカバーにくるまって自宅のベランダで寝たりするっていうんだけど、このシェラフカバーってなに? 椎名も持ち歩いてると書いているけど。
椎名ヘンな旅館にいくと、布団が汚いことがあるんだ。もう10年は干してないだろと言いたくなる布団が。そういうときは、シェラフカバーにくるまってその上に布団をかける。
目黒あったかいんだ。
椎名4〜5度は違うよ。
目黒昔、新宿の登山用具専門店にシェラフを買いに行ったことがあるんだ。0度用とか5度用とか、気温別に売っていることをそのとき初めて知って、笹塚のビルの上にいたとき、いくらなんでも部屋の温度が0度ということはないから5度用のシェラフを買って、そこに入って寝てたのあのころ。シェラフカバーにも、そういう種類はあるの?
椎名厚手のやつと薄いやつの2種類ある。
目黒高い?
椎名1万はしないよ。
目黒そもそもなんのためにあるの?
椎名防水だから、シェラフの上にシェラフカバーをかけたり、あるいはインナーとして使ったり。シェラフの中は結構汚いから。
目黒椎名は普通の旅に、シェラフカバーだけを持っていくのね。
椎名旅館に泊まるのに、いくらなんでもシェラフはいらないだろうから、でも万が一のためにシェラフカバーを持っていく。
目黒登山家がベランダでシェラフカバーにくるまって寝るのはどうして?
椎名耐寒訓練だな。
目黒ふーん。
椎名やけに興味を持ってるな。
目黒いや、おれも欲しいなと思って。
椎名お前、旅行も嫌いなんだから必要ないだろ。
目黒そうなんだけど。ま、いいや。ええと、この本にスマホを買ったと出てきて驚いた。いまでも使っているの?
椎名いや、使っていない。
目黒どうして買ったの?
椎名どうしてかなあ。お前、スマホ?
目黒いや、ガラケー。おれの競馬友達、全員ガラケーだよ。
椎名十分だよな。
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